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第24回 「荷重 番外編」<左足ブレーキA> <2005年09月20日>
さて、今回は、ストリート&走行会での、左足ブレーキ使用方法の話です。

注意!
左足ブレーキを使う前に、とにかく、しっかり左足で踏力のコントロールができるように練習して下さい。
この、踏力コントロールが完全にできるようになる前に実践投入すると、かなりのリスクがあることをよ〜く理解してから
使用して下さいね。
また、街中での練習は、ペダルの踏み違いにより思いがけない大事故につながる場合がありますので、このあたりは
自己管理でよろしくお願いします。(田中のドラテクに書いてあるようにやったら、大事故になちゃったと言われても
責任は取りませんので悪しからず)


もし、みなさんのクルマが、マニュアル車なら、シフトダウンを伴うコーナーでは、左足ブレーキは使えません。
よって、シフトダウンを伴わないコーナー、たとえば筑波のDUNLOP下とか、富士の100Rとかでは、使用可能となる訳
です。メリットは前回書いたように、前後方向に対しての荷重移動のスピードをコントロールできることです。
また、フロント、もしくはリアに偏りすぎた荷重のバランスを修正する時にも有効です。
特にフロントに荷重が移動しすぎて、急激にオーバーステアになったときからの回避には、絶大なる効果を発揮します。


では、新生、富士スピードウェイの100Rを例に解説します。
100Rは、飛び込みスピードが上がってくると、アンダーステアになりやすいコーナーです。
アンダーになると、仕方なくアクセルを戻すわけですが、戻すと徐々にグリップが回復します。
荷重的に考えると、アクセルを踏んだままコーナーに入るので、リア荷重の状態でアンダーが出やすい。
そして、アンダーが出たからといってアクセルを戻すと今度はエンジンブレーキが効いて、フロント荷重になるので、
アンダーが消えるという訳です。
しかし、このときのクルマの動きは、まさに、ギッタンバッタン状態になります。
こうなると、クルマは不安定な挙動となり、あまりにも荷重移動のスピードが速いと、
唐突なオーバーステアにもなり、ドライバーは攻められなくなるのです。

そこで、左足ブレーキの登場です。
ハイスピードでコーナーに飛び込んで、アンダーステアが出始めたら、ほんの少し左足でブレーキを踏むのです
(決してガツンと踏んじゃダメですよ)。そうすると、瞬時にちょっとだけ自分でフロント荷重が作れますので、
アンダーステアになりにくくなるのです。
おまけに、荷重移動のスピードは自分で決めることができるわけですから、そのときのスピードやクルマのセットに
合わせて調整が可能となります。
これがうまくできると、ギッタンバッタン状態にならず、ハイスピードで安定した状態でコーナーが抜けられるのです。

もちろん、荷重だけではなく、車体と路面のクリアランスも大きく変わりませんので空力的にも有利となり、もしエンジンがターボなら、アクセルを再び踏み込んだ時のターボラグも発生しなくなるので、立ち上がりのスピードにもメリットが
あります。すごいでしょ、左足ブレーキって。

でも、左足ブレーキにも、デメリットが2つあるのです。
ひとつ目は、フットレストが使えないこと。路面の凹凸や、強烈な横G、縦Gで、体が動きやすくなり、微妙なアクセル
操作、ブレーキ操作が難しくなります。かなり上半身が強いか、ガッチリホールドするバケットシートがないと
厳しいかもしれません。
そして、もうひとつは、燃費が悪くなることです。当然、アクセルもブレーキも同時に踏んでいる時間があるわけですから、燃費が悪くなるのはいたしかたないことなのかも知れません。レースでも、左足ブレーキを多用するドライバーの燃費は、右足ブレーキのドライバーより悪くなってしまいます。
また、左足ブレーキを使うドライバーのブレーキペダルは、通常のペダルと違ってちょっと大きめのものに換えてある
場合が多いですね。


なんとな〜く、左足ブレーキのメリット、デメリット理解していただけたでしょうか?
左足ブレーキを使う前に、荷重移動がしっかり理解できて、右足ブレーキで荷重が完璧に使えるようになることが
まず先決です。レーシングドライバーでも、左足ブレーキのシェアーは、まだ50%は超えていませんのでくれぐれも、
誤解の無きように!


次回は、10月5日のアップ予定です。
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