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第20回 「番外編 レーシングあきんど」 
<リニアステア & レーシングPSタンク B>
<2005年06月03日>

今回は、開発秘話ではなく、まじめなドラテクの話です。

クルマを上手に運転するには、クルマからの様々なインフォメーションを感じ取ることが、とっても重要ですよね。
その中でも、一番重要なのがステアリングの重さなんです。

カンタンに言うと、コーナリング中、ステアリングがどんどん軽くなるような状況では、必ずその先で、アンダーステアに
なります。 まだ、向きが変わっていないのに、アクセルを踏んだ時など、まさにこの状況になるはずです。

反対に、コーナリング中、ステアリングがどんどん重くなる場合は、安心して曲がれるだけでなく、ステアリング舵角
(ハンドルを切る量)も、軽い時より少なくて住むはずです(これぞ荷重のグリップ!)。

要するに、ステアリングの重さは、フロントタイヤのグリップと直結しているのです。

  ステアリングの重さ=フロントタイヤのグリップ力

この、ステアリングの重さを感じ取れるということは、フロントタイヤのグリップ力を感じ取りながら走れるということで、
ドラテクにはかなり重要なポイントとなります。
だって、今、どれくらいのグリップ力があるかが分かれば、クルマの運転はカンタンでしょ?
たとえば、コーナーのクリッピングポイントの直前に、十分なフロントタイヤのグリップ力を感じられれば、
ステアリングをもっと切り込んでも、クルマは必ず反応してくれるはずです。

荷重編でもお話しましたが、コーナーをハイスピードで安全に走るためには、有効な荷重移動をすることがポイントです。
その荷重移動がどれくらいの精度でできているかの結果が、ステアリングの重さなんです。いつも通っている道で、
いつもより少しでもステアリングが重く感じたら、それは、より精度の高い、有効な荷重移動が出来ている証拠です。
ステアリングの重さは、そのコーナーがうまく走れたかどうかのバロメーター(まだ死語じゃないよね?)なんです。

これらの、重要なインフォメーションを的確に感じられるコツは、技術的な部分だと“ステアリングを必要以上の力で
握らないこと”です。力が入ると、微妙な重さの変化は感じられません。 
特に、パワステ付きの場合は、元々あまり重くないので、少しでも力が入ると、絶対と言っていいほど、重さの変化は
感じられません。レーシングドライバー、予選の一発タイムを出す時や、スタート直後の混戦状態では、ついつい、
力が入ってしまいがちですので、力が入らないように、ステアリングの持ち方を工夫したり、ストレート区間で意識したりと
細心の注意を払っているのです。

しかし、この重要なステアリングの重さが、フロントタイヤのグリップ力以外で変化してしまったら、どうなるでしょう?
ステアリングの重さ=フロントタイヤのグリップ力という方程式が使えなくなり、ドライバーは、グリップ力を感じながら
走れなくなってしまいます。

じつは、実際油圧式のパワステではこのようなことが起こっているのです。

それは、Sタイヤやハイグリップラジアルの装着で、グリップ力の増大とともに、路面からの反力大きくなり、
パワステシステムに負担がかかります。このようなパワステがキャパシティー的に厳しい状態で、高回転を多用すれば、
キャビテーションが発生して、圧力伝達が的確に行われなくなってしまいます。
その結果、パワステがタイヤのグリップ力に負けてしまい、ステアリングが重くなったり、引っかかり感といった症状が
出てしまうというわけです。

こんなとき、リニアステアーを注入すれば、極圧性の向上により、キャビテーションが抑制されますので、
ステアリングの重さ=フロントタイヤのグリップ力という方程式が使用可能となります。
だから、リニアステアーを“ドラテク向上添加剤”とネーミングしたのです。

みなさんも、ステアリングの重さで、フロントタイヤのグリップ力を確実に感じ取れれば、そのグリップに応じたスピード、
ステアリングの切り込み具合で、運転できるようになると思いませんか?
カッコよく言うと、ステアリングの重さが、どのタイミングで、どれぐらい切ったらよいか教えてくれるのです。
これで、ドラテクレベルは格段に向上するはずです。

また、ステアリングの重さで今の走りが正しいか、間違っているかをリアルタイムに確認しながら走れますので、
何か新しいことを試すときにもとっても有効です。

もちろん、サスペンションのセットを変えたときも、このセットのほうが良いのか、悪いのかの判断も的確に
行えるようになるのです。

ステアリングの重さって、スゴイでしょう?

次回は、レーシングPSタンクの開発秘話です。

次回は、7月1日のアップ予定です。
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