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第26回 「タテとヨコグリップの法則」<基本編A> <2005年10月26日>
いやはや、スーパーGT第7戦、オートポリスでは、まさかのリタイヤ・・・・・・・。
オルタネーターのベルトが途中で切れて、“電気切れ”・・・・・THE ENDでした・・・・・。
これで最終戦を待たずに、シリーズ制覇の夢も、消えてしまいました・・・・・。

そして、レース後、東京電力の電気代の支払が遅れ、督促状をもらっているメカニックがいることが発覚!
“電気切れ”のトラブルにおける、やり場のない、怒りと落胆は、すべてこのメカニックに向けられ、
“おまえが電気代さえ払っていればこんなことにはならなかった”と、不律儀な理由で集中攻撃!!! 
(南宮君、やっぱ、ちゃんと払おうよ) みなさんも電気代の支払は、お早めに・・・・・。

(文中に登場する、氏名はすべてフィクションです。なんて、やわなことは言いません。
もちろんノンフィクションですので、東京電力さん早めに集金を!)


さて、前回からはじまった、グリップの方向性の話、入口はカンタンだったでしょう?

今回は複合技の話です。
さっそく本題に入る前に、ここからの話の注意事項を。

前回の話しにあった、タイヤの持っているグリップを“10G”と仮定するという部分ですが、以前に話した荷重を
利用すれば、もちろん、この“10G”が、荷重をかけることで“12G”になったり、“15G”に変化します。
しかし、2つの数字が変化すると、かなり理解しにくいので、ここでは荷重によるグリップ変化はないものだと考えましょう。タテとヨコの法則が理解できた段階で、それに荷重の話を付け加えた方が、より理解できると思います。
だから、ここからの話は、いつもタイヤは、“10G”のグリップ力があり、それは変化しないものと考えて下さい。
その方が話がシンプルなので。

では、いよいよ、本題に突入です。

まず、はじめに質問です。
質問@
もし、ブレーキングでタイヤのグリップ力100%(タテ10G)を使っているときに、ハンドルを切ったらどうなるでしょう?

質問A
同様に、コーナリング中、遠心力にクルマがぎりぎり耐えている状況(ヨコ10G)で、アクセルを“ガバッ”と踏んだり、
ブレーキを“カッツ〜ン”って踏んだらどうなるでしょう?

そんなの、質問@、質問Aとも、アンダーが“ドッカ〜ン”と出るか、スピンするに決まってますよね。
これをタテとヨコの関係で説明すると、質問@なら、タテで100%タイヤを使っている時に、ヨコを使おうとしたから、タイヤのグリップが足りなくなった。
質問Aの場合は、ヨコのグリップを100%使っている時に、タテを使おうとしたから、タイヤのグリップが足りなくなった。ということになります。

要するに、タイヤのグリップは、タテとヨコ、各々に“10G”づつあるのではなく、
タテとヨコを“たし算”して“10G”までならグリップするということなのです。

           タテ + ヨコ = 10 

の本当の意味は、このことなのです。だから、正確には、

           タテ + ヨコ ≦ 10 

と書くのが正しいのです。
タテとヨコのグリップを“たし算”して、それが“10G”以下ならグリップしている状態。
少しでも、“10G”を超えると、タイヤはグリップしないのです。
そして、コーナリング中に、たえず“10G”に近いグリップ力を維持して走れてこそ、タイヤの限界で走ったこととなる
のです。この走りができれば、誰にも負けないし、すごいタイムがでるはずです。また、これは、瞬間的な話ではなく、
コーナリング中、どこの場所でも、ズウ〜ッと“10G”ギリギリで走ることが重要となります。
前回にも書きましたが、タイヤが持っているグリップを超えてグリップさせることはできません。だからこそ、
“10G”ギリギリの状態をキープすることがポイントとなるわけなのです。

次回は、実際にコーナーをいろいろな部分で、輪切りにして、“タテとヨコ グリップの法則”を解説します。

次回は、11月18日のアップ予定です。
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