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   <2007年12月5日>
第51回
「足回りのセットアップ 13」 <アライメント編B>

みなさん、こんにちは。

日本では、めっきり寒くなってきましたが、ここマカオ(注 マカオグランプリの決勝前に原稿を書いてます!)は、いまだに夏真っ盛りってな感じです。

なぜ、マカオかと言いますと、ちょうど同じ日に日本では、FCJ(フォーミュラー チャレンジ ジャパン)が行われており、我らがFTRS(フォーミュラートヨタ レーシングスクール)校長の関谷氏が、マカオに行けないため、監督代理?でマカオにいるのです。

マカオF3は、世界各国からF3のトップランカーが集結するだけあり、かなりハイレベルな戦いですが、大嶋和也選手も、小林可夢偉選手も頑張ってますよ〜。

特に、大嶋選手は、3番手スタートですので期待大です。

マカオは真夏です!


さて、今回は"トーインについて"でしたね。

みなさんも、よ〜くご存知の"トーイン"。
この"トーイン"を利用したセットアップについて話をしましょう。

まず、"トーイン"と"トーアウト"の違いは理解出来ますよね?
「それぐらい、わかってるよ!」と言われそうですが、下の図を見てください。

    
(photograph by minoru tanaka)

クルマについてるタイヤを上から見た写真です。
(え〜、ガムテープを上から見た写真だろって? 想像力ないなぁ・・・・・)

左側・・・・フロント トーイン
右側・・・・フロント トーアウト

となりますね。


はじめに、フロントのセットアップから話をしましょう。

まず、"トーイン"から。
純正の状態では、ほとんどが"トーイン"にセットアップされています。
だいたい、30分〜40分(時間じゃなくて、"トーイン"の量です。60分=1度)レベルです。
理由は、直進安定性を確保したいからです。そう、フロントが"トーイン"なら、直進安定性が良くなるのです。

しかし、レーシングカーや、ハイレベルのチューニングカーの場合は、"トーアウト"がセットアップの王道です。

なぜなら・・・・

●理由その1
レーシングカーや、チューニングカーの場合は、純正に比べてキャンバーがたくさん付いてますよね。
ネガティブキャンバーが大きいと、"トーイン"がゼロの状態でも、タイヤは内側に転がろうとします。

(ちょっとわかりにくいかもしれませんが、右フロントタイヤをイメージして下の写真を見てください)


  
(photograph by minoru tanaka)

写真のように、ネガティブキャンバーが大きく付いた状態で直進すると、内側に転がろうとするタイヤをいつも矯正して走ることから走行抵抗が大きくなってしまいます。

要するに、スリップアングルが付いた状態で直進することになるのです。そこで、この抵抗を"トーアウト"にすることで打ち消すというわけです。


●理由その2
ステアリングレスポンスを向上させるために"トーアウト"にします。
なぜ、"トーアウト"にすると、レスポンスが良くなるかというと、タイヤの「ヨレ」に秘密があります。

下の画像を見てください。

"トーアウト"の状態で直進すると、少しですがタイヤが外側に「ヨレ」た状態になります。




たとえば、この状態から左にハンドルを切ると、右フロントのタイヤは、外側にタイヤが「ヨレ」ている状態から、一気に内側に「ヨレ」る状態に変化します。







そして、この「ヨレ」の方向が変わるとき、車体もタイヤの上で、一気に右へ動き、「ヨレ」が止まった瞬間、急激に荷重が右フロントのタイヤにかかります。

結果、右フロントのタイヤのグリップが、瞬時に立ち上がることで、ステアリングレスポンスが向上するのです。


理解できましたか?


では、次回は、リアの"トーイン"によるセットアップのお話をしましょう。
次回は1月9日頃に更新の予定です。
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