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第25回 「タテとヨコグリップの法則」<基本編@> <2005年10月05日>
みなさんこんにちわ。
2005スーパーGT第6戦FUJIは、7位フィニッシュと、ちょっとフラストレーションの溜まるレースでした・・・
これでランキングは、5位に後退し、TOPとの差は13ポイント。
残り2戦、背水の陣で挑みます。このままでは、終わらない・・・・

さて、前回の左足ブレーキの話、いかがでしたでしょうか?
かなりマニアックかもしれませんが、効果、効能は理解していただけたと思います。

でもって、今回からは、タイヤのグリップの方向性のお話です。
以前、荷重編でお話した内容は、すべてタイヤのグリップ量の増減の話でした。荷重が上がればグリップが増えるっていう話でしたよね?
今回からは、このグリップの方向性の話なのです。

いきなり、方向性?  っっっていわれても??? となりますよね??
でも、このグリップの方向性の話は、ボウリングの玉に例えた、荷重の話と同等、いやそれ以上にクルマを走らせることに重要なファクターとなるのです。
前置きはこれぐらいにして、本題に入りましょう!

タイヤの方向性は、ズバリ、タテとヨコに分かれます。
タテのグリップとは、ブレーキングやトラクションといった、タイヤをたて方向(進行方向に対して)に使うことで発生するグリップのことを言います。
そして、ヨコのグリップとは、コーナーでクルマが遠心力に耐える(踏ん張る)時に発生するグリップのことを言います。

一般的に、このタイヤはグリップがあるとか、無いとかの判断は、コーナーでの踏ん張り感であるヨコのグリップで感じている人が多いと思いますが、グリップするタイヤであれば、同様にタテのグリップも優れているはずです。しかし、ブレーキングやトラクションでのグリップ力はコーナーリング中のグリップより、感じている時間が短く、体内のセンサーがシッカリ働いていないと理解しにくいものです。

そして、このタテとヨコのグリップには、法則があります。
その法則とは、
タテ+ヨコ=10
といった法則なのです。
なんだか暗号みたいですが、タイヤの総グリップ量が、タテ+ヨコ=10以内ならグリップしているという意味です。

たとえば、最短制動距離を狙ってフルブレーキしたとしましょう。
当然、タイヤがロックするかしないかの境で踏力コントロールをすることが重要なのですが、グリップの限界より、少しでも強くブレーキを踏むとタイヤはロックしますよね?
実際には存在しない単位なのですが、このタイヤが持つグリップを”10G(グリップ)”と仮定すると、タイヤがロックするかしないかの境が、ピッタシ”10G”の全てを使っている状態なのです。
そして、この状態から、少しでも強くブレーキを踏むと、このタイヤのグリップではキャパをオーバーしてロックしてしまうということなのです。

分りますか〜?

これは、ヨコのグリップでも同様です。
たとえば、コーナーの旋回スピードが80km/hなら、ギリギリでグリップしている状態があったとします。
まさに、ヨコ方向に、このタイヤのキャパシティである10Gを使い切っている状態です。
このときにコーナーの旋回スピードを90km/hに上げてみたらどうなるでしょう?

 A:グリップし続ける
 B:スリップする。

答えは、B:スリップする です。
スピードを上げた瞬間に、カンタンにアンダーステアがでたり、スピンしたりするはずです。
これもタイヤのキャパである”10G”を超えたことに原因があるはずです。

要するに、タテまたはヨコ単体でグリップを使用する場合、そのタイヤが持っているグリップのMAX(10G)まではグリップしているけれど、それ以上のグリップを要求すると、タイヤは限界を超えて滑り出すのです。
また、この限界は、いくら運転がうまいドライバーでも超えることはできません。

と、ここまでは、そんなに難しくないですよね?
次回からは、このタテ+ヨコグリップの複合技です。かなり濃い話になりますので、
乞うご期待!!


次回は、10月24日のアップ予定です。
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